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IT資格制度の見方

2026年3月31日にIPAと経済産業省が公表した情報処理技術者試験の見直し案を整理し、確定事項と検討段階の内容を区別して説明する。2026年6月に公表されたシラバス案・サンプル問題の状況と、2026年度の実施日程まで反映している。

この記事は、2026年3月31日に IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)と経済産業省が公表した情報処理技術者試験の見直し案を整理した制度説明記事です。公表内容は「現時点の検討状況」であり、今後の公式発表で変更される可能性があります。記載内容は 2026年7月25日に再確認し、2026年6月22日・6月30日に公表されたサンプル問題とシラバス案を反映しています。

IT資格を調べていると、「応用情報がなくなるらしい」「制度が変わるらしい」という話に行き当たります。伝聞の形をしているぶん、どこまでが公表された内容で、どこからが推測なのかが分かりません。この記事では、2026年3月31日に何が公表され、何がまだ決まっていないかを整理します。

資格のおすすめ順や学習計画はここでは扱いません。制度変更そのものを正確に読むことに集中します。どの資格を取るかの判断は 未経験からまず目指すIT資格 で扱っています。

2026年3月31日に何が公表されたか

2026年3月31日に、経済産業省は「情報処理技術者試験における試験区分体系などの見直し(案)について」を公表しました。同日、IPA も「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」を公開しています。

公表の要点は次の3つです。

  • 2026年度までは、現行の試験制度で実施する
  • 2027年度から、新しい試験制度へ移行する予定である
  • 現行の試験制度は、2026年度の試験実施をもって終了する予定である

ただし、この公表は「確定した新制度の告知」ではありません。IPA・経済産業省ともに「現時点の検討状況」「見直し案」として案内しています。

決まっている方向と、まだ検討段階のこと

制度変更のニュースは、「公表で示されていること」と「まだ検討段階のこと」を分けて読んでください。混ざったまま伝わると、仮称の試験名が確定した名称のように広まります。

公表で示されている方向

  • 基本情報技術者試験は、新制度でも継続予定。IPA は「試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません」と説明している
  • 情報セキュリティマネジメント試験も、新制度で継続予定。同じく知識・技能の範囲は変更なし
  • 現行の応用情報技術者試験と高度試験は、2027年度以降に同じ区分のまま続く予定ではなく、再編の方向が示されている
  • 情報処理安全確保支援士試験は、応用情報・高度とは別の区分として存続しつつ、一部が変わるとされている

検討段階・未確定のこと

  • 応用情報技術者試験と高度試験の再編先として、「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」が3試験(マネジメント領域・データ/AI領域・システム領域)に分かれる方向が示されている。ただし名称は仮称
  • 「データマネジメント試験(仮称)」の新設が明記されている。ただしこれも仮称
  • 新試験のシラバス案とサンプル問題は、2026年度夏頃を目途に順次公表する予定とされており、一部は公表済み(次節で区分ごとに整理する)
  • 新試験制度の開始時期は「2027年度春頃」「2027年度夏頃から秋頃」という見込みであり、経済産業省は「試験の準備状況によっては、遅れる可能性があります」と明記している
  • 免除制度や経過措置は「検討しています」という段階
  • 論述試験のあり方は、2028年度以降に向けて継続検討とされている

区分ごとの整理

2026年3月31日時点の公表内容を、試験区分ごとに表にまとめます。

試験区分2026年度2027年度以降の公表方針
ITパスポート試験現行区分で実施継続。出題構成を変更する方向
情報セキュリティマネジメント試験現行区分で随時 CBT 実施(2026年12月28日以降は休止予定)継続。一部変更だが知識・技能の範囲は変更なし
基本情報技術者試験現行区分で随時 CBT 実施(2026年12月28日以降は休止予定)継続。一部変更だが知識・技能の範囲は変更なし
応用情報技術者試験現行区分で実施(2026年度が最後の見込み)現行区分のまま継続する予定ではなく、再編対象
高度試験(各区分)現行区分で実施(2026年度が最後の見込み)現行区分のまま継続する予定ではなく、再編対象
情報処理安全確保支援士試験2026年度から CBT 移行予定別区分として継続。一部内容と出題形式を変更する方向

CBT 方式とは、試験会場のコンピュータで出題・解答する方式です。紙の問題用紙ではなく画面上で操作します。ITパスポート試験や基本情報技術者試験は、以前から CBT 方式で実施されています。応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験は、2026年度から CBT 方式へ移行予定と案内されています。

基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験は随時受験できますが、IPA は 申込ページ で「2026年12月28日以降に試験の休止を予定しております」と案内しています(2026年7月25日時点)。受験時期を決めるときは、申込画面で選べる試験日を先に確認してください。

新試験のシラバス案・サンプル問題の公表状況

新制度の資料は、区分ごとに順次公表されています。2026年7月25日時点の状況は次のとおりです。

資料公表済み準備中
サンプル問題(2026年6月22日公開)データマネジメント試験(仮称)の科目A・科目BITパスポート試験、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の3区分、情報処理安全確保支援士試験
シラバス案(2026年6月30日公開)プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)と同(システム)試験(仮称)の科目BITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、データマネジメント試験(仮称)、同(データ・AI)試験(仮称)、情報処理安全確保支援士試験

IPA は両ページで「準備が整ったものから順次このページに掲載し、2026年度夏頃を目途に一通り掲載する予定です」と案内しています。つまり「全部が出そろうのを待つ」必要はなく、自分が受ける区分の資料が出ているかを個別に確認するのが実際的です。

「応用情報がなくなる」は正確か

「応用情報がなくなる」という言い方を目にすることがありますが、省略しすぎで誤解を招きやすい表現です。

2026年3月31日に公表された見直し案では、現行の応用情報技術者試験は2027年度以降も同じ試験区分のまま続く予定ではなく、高度試験とあわせて新しい試験体系へ再編される方向が示されています。

つまり、「応用情報技術者試験という名前・区分が現行のまま残る予定ではない」という意味では近いですが、「応用情報レベルの学習目標や中級帯の試験そのものが消える」と読むのは不正確です。再編後の新しい枠組みにも、相当するレベルの試験が置かれる方向が示されています。

2026年度に受験する人の読み方

2026年度は、制度区分としてはまだ現行制度の年度です。2026年度に受ける試験は、原則として現行の試験名で考えます。

ただし、2026年度は「現行制度のまま何も変わらない年度」ではありません。

  • 応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験は、2026年度から CBT 方式に移行予定
  • 現行制度は2026年度の実施をもって終了予定なので、現行の「応用情報技術者試験」「データベーススペシャリスト試験」などの名称で受けたい人にとっては、2026年度が区切りになる可能性が高い
  • 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験は新制度でも継続予定のため、「2026年度中に急いで取らないと名称が消える」という話ではない。ただし 2026年12月28日以降の休止予定はあるため、受験時期は別に確認する

2026年度の応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験の実施予定は、IPA の案内で次のように示されています(2026年7月25日時点)。

  • 前期試験: 2026年11月頃(応用情報、ITストラテジスト、システムアーキテクト、ネットワークスペシャリスト、ITサービスマネージャ、情報処理安全確保支援士)
  • 後期試験: 2027年2月頃(応用情報、プロジェクトマネージャ、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、システム監査技術者、情報処理安全確保支援士)
  • いずれも CBT 方式を予定
  • 申込みは前期・後期それぞれ1回のみ。同じ期に複数の試験区分や複数回の申込みはできないと案内されている

従来の「春期・秋期」とは時期が違います。現行区分で受けるつもりなら、この日程を先に押さえてください。

制度区分の変更と実施方式の変更は別の話です。2026年度に応用情報技術者試験や高度試験を受ける人は、「現行区分の最後の年度見込み」であることと、「受験方式が CBT に変わる」ことを分けて把握してください。

2026年度に現行制度で合格した場合の経過措置は、2026年3月31日時点ではまだ検討段階です。ここは後から公式発表を追ってください。

2027年度以降に受験を考えている人の読み方

2027年度以降に初めて受験を考える人は、現行制度の名称よりも、新制度で何が継続し何が再編されるかで考えるほうが正確です。

  • 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験は、新制度でも残る予定。初学者にとって基礎の選択肢として引き続き有効
  • 応用情報技術者試験を2027年度以降に受けたいなら、「現行の応用情報をそのまま待てばよい」とは考えないほうがよい。前提にするのは再編後の枠組みのほうになる
  • 応用情報相当の次の一歩を考える場合は、再編先にあたるプロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)のシラバス案を確認してから判断する。マネジメント領域とシステム領域の科目Bシラバス案は 2026年6月30日に公表済みで、いま読める

新設予定のデータマネジメント試験(仮称)は、IPA の説明ではビジネス部門を主な対象とし、ITパスポート試験の次のステップとして位置づけられています。プログラミング学習者にとって基本情報技術者試験より優先される試験とは限りません。

よくある疑問

Q. 2026年3月31日時点で、何が決まったのですか

2026年3月31日時点で公表されたのは、2027年度から新試験制度へ移行する「予定」と、その見直し案です。基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験は継続予定、応用情報技術者試験と高度試験は再編方向、データマネジメント試験(仮称)とプロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)は新設方向とされています。確定済みの制度告知ではなく、「現時点の検討状況」としての公表です。

Q. 基本情報技術者試験はどうなりますか

2026年3月31日時点の公表では、基本情報技術者試験は新制度でも継続予定です。IPA は「試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません」と説明しています。Java や Web 開発を学んでいる人が基本情報の学習を進めること自体は、制度変更の影響を受けにくい判断です。

Q. 応用情報技術者試験は2027年度以降もそのまま残りますか

2026年3月31日時点の公表では、そのまま残る予定ではありません。応用情報技術者試験と高度試験を再編し、新しい試験体系へ移す方向が示されています。「名前が残るか」「学習価値が残るか」「受験方式が変わるか」は、それぞれ別の問いです。

Q. 2026年度は現行の応用情報技術者試験を受験できますか

受験できます。2026年度は現行制度の実施年度で、現行の応用情報技術者試験という区分で受けられる最後の年度になる見込みです。ただし、2026年度から CBT 方式へ移行予定のため、区分は現行でも受験方式は変わります。実施は前期が2026年11月頃、後期が2027年2月頃で、申込みは各期1回のみです。

ただし、最後の年度であることと、あなたが受ける価値があることは別です。「区分がなくなる前に」は受験の動機になりません。未経験からの就職活動で応用情報を取る価値があるかは 未経験からまず目指すIT資格 で扱っています。制度の締め切りを理由に決める前に、そちらを読んでください。

Q. 2027年度以降に受験を考えている人は、いま読める資料がありますか

あります。2026年7月25日時点で、サンプル問題はデータマネジメント試験(仮称)の分、シラバス案はプロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)と同(システム)試験(仮称)の科目Bが公表済みです。区分ごとの状況は前半の表にまとめました。基本情報技術者試験のシラバス案のように、まだ準備中の区分もあります。

次にやること

制度変更のニュースを見て焦る必要はありません。2026年7月25日時点の状況を踏まえると、やることは次のとおりです。

  • 2026年度に受験する人: 現行制度の試験名で準備を進める。応用情報・高度試験は CBT 方式への移行と、前期2026年11月頃/後期2027年2月頃という日程を確認しておく。基本情報・情報セキュリティマネジメントは 2026年12月28日以降の休止予定を確認しておく
  • 2027年度以降に受験を考えている人: 自分が受ける区分の資料が公表済みかを確認し、準備中の区分だけを待つ。基本情報技術者試験は継続予定なので、基礎の学習は今から進めて問題ない
  • Java / Web 開発の学習を続けている人: プログラミングの学習そのものは、制度がどう変わっても土台になる。制度変更だけを理由に学習計画を大きく変える必要はない

制度の締め切りは、資格を取る理由にはなりません。「区分がなくなる前に取っておこう」と考えたときは、そもそもその資格が自分の就職活動でどう効くのかを先に確認してください。判断の材料は 未経験からまず目指すIT資格 にまとめています。

この記事の内容は、IPA が資料を追加するたびに古くなります。特に「準備中」と書いた区分は、読んだ時点では公表済みになっているかもしれません。下の参考リンクのうち、シラバス案とサンプル問題のページを直接見るのが最短です。

参考リンク